緊急特集 HKT48始動でどうなる地元アイドルグループ!?(後編)

(画像引用元:Negicco OFFICIAL WEB SITE)
5月1日、ここ福岡にSKE48、NMB48に次ぐご当地AKBユニットの第3弾としてHKT48が結成されることが発表された。
HKTの出現によって既存の地元アイドルグループが危機を迎えつつあるということを少し深く掘り下げてお伝えする緊急企画の後編です。

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この後編では自称『地下アイドル探索家』である私、ゲーリー落合なりにローカルアイドルが生き残るための提言を書き加えてみたいと思う。

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■メディアへの露出について

前編では「彼女ら(ローカルアイドルユニット)の活動や存在そのものが我々の暮らしにまで届いていない」と書いたが、その理由の一端は在福テレビ局での露出が少ないことに原因がある。
しかしHKT48ともなるとテレビ局も放っておかないだろう。

「あのAKBの派生ユニット」というエクスキューズだけでお茶の間へのリーチはグンと伸び、若年層だけでなく中高年層への訴求力が生まれる。たぶんうちの婆ちゃんでも「ああね」と言うはずだ。
具体的には福岡吉本やナベプロ九州のタレントと同程度のテレビ出演の機会がHKT48メンバーに与えられることを予想する。(それを継続できるかはその後の活躍次第だが。)
また、AKB絡みの全国放送(『AKBファミリー対抗運動会』的なもの)に呼ばれる機会も当然出てくる。まだメンバーすら決まっていない状態にも関わらず未来のチャンスが確約されたユニットであることは間違いない。

こうしてHKTに押しやられ、既存のローカルアイドルユニットのテレビ番組出演の機会はますます減るかもしれない。

しかし、現在はマスメディアに頼らないプロモーションも充分可能な時代だ。
現に新潟の『Negicco(ねぎっこ)』や広島の『まなみのりさ』といったローカルアイドル達はそれぞれの地域を飛び出し、おもにインターネットを通して全国的な知名度を獲得。結果としてそれから遅れる形で民放キー局が取り上げるといったパターンもある。
『ローカルアイドル』といえどローカルの枠から飛び出すことは非常に重要である。
これは福岡の県民性なのか、例えばお笑いだと『華丸・大吉』や『パンクブーブー』、バンドでは『ナンバーガール』が良い例で、非常に悲しいことなのだが『東京で認められていないものを評価しない』という側面があるように思う。(華大はもともと人気があったが、R-1獲得後「オレ昔っから好きやったっちゃんね~!とこサン(とことんサンデー)見よったもん~」と声高に叫ぶ連中が増えたのは確か。)

先に挙げた『Negicco』『まなみのりさ』の2組は東京でも定期的にライブを行い、ファン層を拡大している。
しかし福岡のローカルアイドルが東京でライブをやったという話はあまり聞かない。『ローカルアイドル』だからといって活動を『ローカル』に限定する必要は無い。『ローカルアイドルショウケース』のようなイベントは都内でも度々行われているので積極的に遠征するのもいいかもしれない。

また、『ガジェット通信』のような全国区のユル系ネットメディアもこうしたナゾなローカルアイドルとは親和性が高い。東京に住む人で地方の得体の知れないナゾ・ムーブメントに好奇心を抱く人は少なくない。

マスメディアの攻略よりも、まずネットメディアの攻略に取り掛かった方が手っ取り早いかもしれない。ローカルアイドルが知名度を向上させるにはまずはネットに付随する2次メディア(ニュースサイトや音楽サイト)にいかに取り上げてもらうか、この攻略に力を入れるほうが近道だと考える。

■HKTと既存ローカルアイドルユニットの共存は可能か?

そのヒントは『大阪』にあるように思う。
昨年大阪・難波に秋元康完全プロデュースのもとAKB48の全国展開第2弾として『NMB48』が誕生した。

そのオープニングメンバーオーディションには7,000名を超える応募が寄せられ、その中から選ばれた26名で活動をスタート。さらにその26名の中からいわゆる正規メンバーと呼ばれる『チームN』に昇格できたのは16名、残りの10名は研究生として残留、またはグループ脱退となった。
AKBファミリーの一員としてメディアに露出するには非常に狭き門を潜り抜けねばならないことが伺える。

また、大阪にはNMB48に先んじて2008年より『JK21』というガールズユニットが存在しており昨年末にテイチクレコードよりメジャーデビュー。今なお活動を継続している。
既存ローカルアイドルユニットが存在しているところにNMB48が殴り込みをかけた形なのだが、この図式は現在の福岡の状況と酷似している。

NMB48が本格始動してまだ半年足らずなので今後も経過を見守る必要があるが、今のところはこの2グループ、ファンの棲み分けはできている状態だ。

理由は諸説あるだろうがそのひとつとして考えられるのが、最大20名以上のメンバーが在籍していたことのあるJK21だが脱退が相次ぎ現在ではフロントメンバーは7名。
もはやユニットの規模的にはAKBとは別物。むしろ『ももいろクローバー』に近いコンパクトな編成へと変化している。
私のような30を過ぎたオジサンでもその気になればメンバーの名前を覚えられるギリギリの人数がこのくらいだろう。(福岡chメンバーでも話題になっている愛媛のローカルアイドル『ひめキュンフルーツ缶』も8名と「実に丁度いい」編成なのだが、これについてはまたの機会に。)
こうしたことで大阪においてNMB48とJK21が差別化され共存が可能になったのではないだろうか。

結論として話を福岡に戻すと、HKT48との共存は可能。しかしその為には『AKB風ユニット』のままでは難しいというのが実情ではないかと考える。ありきたりな話だが各グループごとの個性を磨いていくしかないだろう。

HKT≠AKBを迎え撃つためには一度AKBというアイデアやビジネスモデルから離れることが必要に思う。『明日のAKB』を目指した結果、AKBから脱却しなくてはいけないとはなんとも皮肉な話であるが、破壊王・橋本真也氏の言葉を借りるならまさしく『破壊なくして創造なし』。地域密着・地方発だからこそできる”何か”を今一度考え、我々も応援したいと思う。